2008年4月23日
八木 健彦 氏 (物性研究所)
マントル不連続層と超高圧実験 ― オリビン・スピネル転移からポストペロフスカイト転移まで
地震波観測により存在が明らかにされたマントル中の不連続層の実態を明らかにするために、1960年頃から超高圧高温実験技術の開発が進められ、さまざまなケイ酸塩鉱物の高圧相転移が研究されてきた。これらの実験結果から、全地球の体積の50%以上を占める下部マントルは、地表では全く見ることができないペロフスカイト構造を持つ高密度鉱物でできていることが明らかにされた。このペロフスカイト相はここ20年以上、マントル最深部まで安定に存在すると考えられてきたが、2004年にそれまで全く予想されなかったポストペロフスカイト相が発見され、コア-マントル境界付近に対する見方が大きく変化しつつある。超高圧実験が地球内部構造の理解に果たしてきた役割と、今後の展望について紹介したい。