博士論文中間発表 薗部 美穂子 氏

『三波川変成岩のP-Tpathと流体組成の変化』

(2004年07月28日)

三波川変成岩中のざくろ石は (Mg,Fe,Mn,Ca)3Al2Si3O12で表される固溶体鉱物である。 これまで三波川変成岩の解析にはXH2O=1が用いられてきたが、泥質片岩中のざくろ石は 無視できない量のCaを含み(XCa(Ca/(Ca+Mn+Fe+Mg)=0.2〜0.4)、方解石(CaCO3)が ざくろ石のCa成分と流体のXCO2組成に与える影響が指摘されている(後藤、2002)。 本研究は四国中央部、汗見川・猿田川地域の三波川泥質片岩について方解石と H2O-CO2混合流体を含む系にギブス法を適用し、ざくろ石の組成累帯構造から 汗見川・猿田川地域のP-Tpathと流体組成の変化を推定した。 その結果、汗見川・猿田川地域のざくろ石帯、曹長石黒雲母帯、灰曹長石黒雲母帯の岩石は、 ピーク変成温度・圧力条件は異なるが、同じ温度・圧力経路を経ている。 また高変成度帯のざくろ石は変成ピーク付近で急激に流体のXCO2が上昇したことを示す。