修士論文中間発表会
講演者:堀内 俊介
タイトル:
『Numerical Study of corner flow with temperature-,
    water-,strain- and pressure-dependent Rehology』

(2004年10月13日)

要旨:
  沈み込み帯における、温度構造や流れ場の構造をについての
情報はマントルウエッジ内でのメルトの生成する場所、引きずりこまれ
るスラブ内で起こる脱水分解反応の場所や、そこで放出される流体相
の組成について制約を与える。これらのことは、沈み込み帯での火山
活動や地球全体の物質エネルギー循環についての理解を深める上で
重要である。
 地球化学的分析によると、マントルウエッジでマグマが生成するには
、1200℃以上の温度が必要だと言われている。今までの数値シミュレ
ーションによって、このような高温をもたらす要因を調べるために、熱源
として可能性のありそうなものが試されてきた。
 最近では、オリビンの変形実験から、水がマントルウエッジの粘性の
低下が対流を活性化することで島弧や背弧の下の温度構造に影響を
与えるということが示唆されている。
 本研究では、水がマントルウエッジの粘性分布に与える影響を詳細
に見積もり、応力や温度が粘性に与える影響も考慮して二次元数値シ
ュミレーションすることで、水がウエッジの流場や温度場に与える影響
を明瞭にすることを考えた。ただ、流場、温度場、応力場、粘性、水の
分布の関係は複雑に絡み合っているため、流場、応力場に関しては解
析解を用いて、温度場を数値シュミレーションするという簡単なモデル
を使って粘性分布を計算し、水がウエッジの粘性に与える効果が、島
弧の高温を説明するような場所で利いているのかどうかを調べてみて
から複雑な計算をすることにした。
 今回の発表では、簡単なモデルを使うことで、マントルウエッジ
の粘性に与える効果について分かったことを話します。