講演者:宮島 延吉 氏 (東京大学物性研究所)
タイトル:分析透過電子顕微鏡を用いたマントル物質の解析
―下部マントル条件での3価陽イオンの挙動を例として―

(2004年12月01日)

要旨:
高圧実験回収試料の解析において、高い空間分解能を持つ分析透過電子顕微鏡(ATEM)
は非常に有用である。そのマイクロスコピー機能やディフラクトメトリー機能を利用
して、実空間ならびに逆空間の情報を高い空間分解能で得られる。さらに付属の分光
器を使ったエネルギー分散型X線分光法(EDXS)や電子線エネルギー損失分光法
(EELS)のスペクトロスコピー機能により、エネルギー空間の情報も得ることができ
る。本発表では、下部マントル条件でのガーネット-ペロブスカイト相転移における3
価陽イオンの挙動を例として、各種ATEM分光法を紹介する。特に、走査TEM-EDXSを用
いた元素マッピングやアルミニウム拡散プロファイル測定、EELSを用いたFerric Fe
/ Ferrous Fe比の決定や、電子線チャネリング効果を用いたEDXSやEELSによる陽イオ
ン占有席の決定などの結果を交え、下部マントル物質における3価イオン(Al,
Ferric Fe)のふるまいについて考察する。