講演者:佐藤 比呂志 氏(地震研究所)
タイトル:反射法地震探査から見た日本列島の地殻構造とアクティブテクトニクス
(2005年12月08日)

要旨:
 現在進行しているテクトニクスも,断層の再活動などを通じて,長い地質時 代における地殻構造の形成と深い関わりを持っている.地殻構造の形成過程を 理解することは,現在の活断層の深部構造の推定にとって重要であり,逆に活 断層や震源断層の理解は,地殻構造の形成過程を理解する上でも重要な情報を 提供する.断層や褶曲を描き出せる高分解能の構造探査は,ほぼ反射法地震探 査に限られる.反射法地震探査による地殻深部までをターゲットにした地殻構 造探査は,日本でも90年代後半から積極的に実施されるようになった.その 後,兵庫県南部地震が内陸活断層による地震であったこともあり,反射法地震 探査を機軸とした地殻構造探査は,大きな進展を見せた.本講演では,北海道 中軸帯,東北日本弧横断,北部フォッサマグナ,西南日本弧横断,首都圏周辺 地域,台湾中部などで実施してきた地殻構造探査の成果を中心として,探査か ら明らかになりつつある地殻構造の形成過程とアクティブテクトニクスとの関 連について述べる.また,反射法地震探査によって明らかになった浅層部で複 雑な分岐形状を示す逆断層と地表変形について,北日本の逆断層システムを例 として紹介する.