ゲラー・ロバート 氏(地球惑星科学専攻)
2005年5月11日
タイトル:「最適計算演算子ってな〜に?」
要旨:
我々の研究室では、理論地震波形(及びその偏微分)を計算し、
その理論地震波形と観測波形データの残差を最小化することによって内部構造及び
震源のパラメータを推定する研究に取り組んでいる。この手法で研究を
行うためには、理論波形の計算能率向上と同時にその計算誤差の最小化を
実現しなければならない。この研究に成功するために、応用数学の
原点に戻り、基礎的な計算誤差の評価理論を導く必要があった。
その中心的結果は、”最適計算演算子”が満たすべき条件である
(Geller&Takeuchi, GJI, 1995)。
簡単に言えば、地震波伝播の計算には時間発展演算子と応力エネルギー
演算子があり、それぞれの離散化誤差がある。旧来、それぞれの演算子
の誤差を最小化する研究があったが、”最適演算子”は、その2つの演算子
(時間発展、応力エネルギー)をセットとして定義して、相対的に誤差が
食い違う(キャンセルする)ように定義されている。
最適演算子は時間領域及び周波数領域において導かれており、
それぞれの具体的形及び計算例を紹介する。
媒体のなかの計算演算子の精度がよくなると、不連続境界面、震源の表現
などによる誤差が卓越する。最適演算子を有効に使用するために、
幾つかの関連課題の解決も必要であり、それらについても論ずる。
今回のテーマは数学的なものであるが、数学が超得意でない人も
基本的に理解できるように講演を行うつもりである。