高橋 雅紀 氏(産業技術総合研究所)
2005.12.14
タイトル:
「日本列島の圧縮テクトニクスの原因」
要旨:
日本列島の東西圧縮テクトニクスの原因は,太平洋プレートの西向
きの運動によるとする考えと,アムールプレートの東向きの運動に
よるとする仮説が提案されているが,いずれも今日の圧縮応力場が
第四紀に突然始まったことを説明することができない.したがって,
内陸地殻の応力蓄積や地震の発生,地殻の短縮等をこれらのプレー
ト運動で説明したとしたら,そのような現象が過去数1000万年以上
も継続していたことになり,地質学的観察地質から容易に棄却され
てしまう.第四紀の圧縮テクトニクスと,それ以前の中立的応力場
が支配したテクトニクスの双方を説明できるモデルに基づいて今日
の圧縮テクトニクスを理解し,その仮説の上で今日の内陸地震活動
や活断層・活構造の形成,山地の隆起や堆積平野の沈降などのネオ
テクトニクスを再検討する必要がある.講演では,過去1500万年前
から地質学的近い将来(200-300万年後)までの日本列島のテクトニ
クスに関する新たなモデルを提案し,その枠組みの中で近い将来に
終焉を迎える圧縮テクトニクスについて説明する.