博士論文中間発表 鹿倉洋介 氏

「三次元数値シミュレーションによる沈み込み帯の地形−内部構造発達過程の解明」

2006年7月12日

 プレート収束域では,地殻変形運動や熱構造変化などの内部過程と地形発
達などの表層過程が相互に影響を及ぼし合いながら同時進行しており,結果
として,それぞれのプレート収束域に特有の地形−内部構造が形成される.
 これまでのプレート収束域の地形−内部構造発達過程に関する研究では,
内部過程と表層過程が個別に扱われ,両者の間の相互作用については思考実
験あるいはアナログモデル実験に基づいて定性的に考慮されることが多かっ
た.そのため,地形−内部構造発達に関する考察・議論を定量的に行うこと
が困難であった.そこで本研究では,地形発達過程,地殻変形運動,および
熱構造進化を支配する三つの基礎方程式をカップルさせたモデルを構築し,
地形−内部構造発達過程を数値シミュレーションにより再現する.具体的に
は,先ず,地形発達過程を有限差分法で,地殻変形運動と熱構造進化過程を
有限要素法で,それぞれ個別にモデル化し,次に両者を結合させる.
 本発表では,この研究で取り扱う物理過程の支配方程式と,その数値的な
取り扱いについて解説する.さらに,有限要素法による地殻変形運動の数値
シミュレーション結果について紹介し,今後の研究方針を述べる.