池田安隆 氏(地球惑星科学専攻)

「2004年スマトラーアンダマン地震に伴う地殻変動と地震発生履歴:
 アンダマン諸島における過去2年間の調査で分かったこと」

2007年1月10日

 アンダマン諸島からにコバール諸島を経てスマトラ沖のニアス島へと連なる
島々は,スンダ海溝陸側斜面に発達する外弧隆起帯上に位置する.余震分布から
推定される2004年スマトラ沖地震の震源域は,その北端がアンダマン諸島まで
達している.ここでは,地震動による被害が軽微であったにもかかわらず,
顕著な地殻変動 が生じた.隆起・沈降のパターンから推定した coseismic な
破壊領域は極めて幅が狭くて浅い(下端の震度~20 km).
 アンダマン諸島では地震後3ヶ月以内に顕著な余効変動生じたことが分かった.
この余効変動は,coseismic な破壊面の上端から付加体基底のデコルマへと,
浅部に向かってすべりが伝播していったことにより生じたらしい.一方,プレ
ート境界のより深部でも,これからゆっくりした余効すべりが生じるであろう
ことを示す証拠が発見された.
 超巨大地震を発生する沈み込み帯の挙動を解明する上で,この地域の古地
震学的調査は極めて重要である.当日は,2006年12月下旬に行う調査の結果
も報告する予定である.