2008年10月29日

【1】 16:30〜17:10

高田 悠志 氏 (地球惑星科学専攻・修士課程)

「板状貫入岩体の冷却分化過程: 山形県青沢ドレライトの組成、組織からの制約」

結晶核形成・成長・重力分離による均一分化と組成対流を伴った固液境界層分化は、地殻内マグマ溜まりの冷却に伴う分化メカニズムの二つのエンドメンバーであると考えられている (Jaupart and Tait, 1995; Marsh, 1996)。しかし、これらの二つのメカニズムの発生条件、発生する空間スケール、時間スケールを含め統一的な理解には未だ至っていない。そこで、本研究では板状貫入岩体である青沢ドレライトの詳細な岩石学的検討に基づいてマグマ溜まりの分化過程に関する理解を深めることを目標としている。板状貫入岩体は地殻内マグマ溜まりそのものではないが、マグマの冷却・分化過程の時間変化を空間分布として記録しているため、マグマ溜まりでの素過程 (結晶核形成、成長、メルト-結晶相互移動等) を抽出できると期待される。

青沢ドレライト (Fujii, 1974) は山形県北東の青沢地域に分布し、日本海形成時期の火成活動で10±0.3Ma (大木他, 1996) に中新世の泥岩を主体とする堆積岩に調和的に貫入した厚さ数10m〜100数十mの板状貫入岩体群である。これらの岩体から本研究では平板性の良い厚さ約100mの岩体の解析を行った。その結果、以下のことが判明した。(1)少量の結晶 (Ol, Pl) を含んだほぼ均質なマグマが貫入した。(2)岩体内に認められる露頭スケール〜岩体スケールの化学組成変化から、斜長石、かんらん石、単斜輝石成分の移動が示唆される。(3)岩体スケールでは、液相濃集元素が上下接触部から約20mの部分に向かって濃集し、岩体中心部では枯渇する。(4)単斜輝石の量は下部急冷縁から30〜50mで多く、そこでは単斜輝石は振動累帯構造をする自形結晶がオフィティック結晶よりも多く存在する。(5)かんらん石は岩体下部に多い。以上から、均一分化の効果は貫入初期におけるOl,Cpxの沈降、および岩体中心部でのCpxの沈降に見られ、一方固液境界層分化の効果は接触部近くで大きく、岩体中心部では均一分化の効果が大きいために、その影響は小さいと考えられる。

【2】 17:10〜17:50

小西 健介 氏 (地球惑星科学専攻・修士課程)

「波形インバージョンによる太平洋下のD"層の局所的地震学的構造の推定」

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