最近のニュース

第65回高圧討論会に研究室から6名参加します

2024年11月13日~2024年11月15日に岩手県で行われる 第65回高圧討論会に廣瀬研究室から6名が参加します。 以下が廣瀬研究室の学生による発表です。是非聞きに来てください! 2024/11/13 ポスター発表 …

AGU24に研究室から5名が参加して発表します

12月9日-13日にアメリカ・ワシントンDCで国際学会AGU24が開催されます。 廣瀬研究室からは5名が参加し、発表します。 以下は廣瀬研究室およびその卒業生による発表になります。 是非聞きに来てください! 【Monda …

小澤さんと廣瀬先生が共同プレスリリースを発表──マントルの底に隠された地球化学的貯蔵庫の発見

廣瀬研卒業生の小澤さん(現・兵庫県立大学助教)と廣瀬先生が、北海道大学の坂本准教授との共同プレスリリースを発表しました。 小澤さんは北海道大学との共同研究で、地球深部におけるマグマとブリッジマナイト間における微量元素の分 …

D2の坂井さんがJpGU2024の学生優秀発表賞を受賞しました

坂井さん(D2)が日本地球惑星科学連合(JpGU)2024年大会の学生優秀発表賞を受賞しました。 Fe-FeS系の状態図の決定と火星内核の可能性に関する発表でした。 おめでとうございます。

ご挨拶

地球の深部はどのような物質で出来ているのでしょう?
そこでは何が起こっているのでしょう?
地球はどのように進化して来たのでしょう?
地球やその他の惑星はどのようにして出来たのでしょう?

冥王星の探査が進むこの時代になっても、地球内部のことは未だによくわかっていません。地球内部に探査機を送る代わりに、われわれは「超高圧高温実験」という手法で、地球深部の実態や惑星の形成に関する謎解きをしています。

廣瀬研究室では、天然のダイヤモンドを用いたダイヤモンドセルと呼ばれる装置を用いて、地球の中心を超える高圧高温環境を作り出すことができます。この装置を用いることにより、地球内部のあらゆる物質を実験室で合成できるのです。われわれは世界に先んじて、2004年にはマントル最下部層の主要鉱物「ポストペロフスカイト」を発見、2010年には内核の結晶構造を解明するなどの大きな成果を挙げて来ました。マントル深部・コア物質の相転移の研究に加え、弾性波速度、電気伝導度、熱伝導率、溶融現象、元素分配などを高圧高温下で調べています。主要研究テーマはどれも世界の第一線のものです。学部や修士の学生であっても世界最先端の研究にチャレンジすることができます。実験が好きな学生を歓迎します。


廣瀬 敬

 

プロフィール:
廣瀬敬 ひろせ・けい
1968年 福島県いわき市生まれ、千葉県柏市育ち。86年 開成高校卒業、東京大学理科一類入学。90年 同理学部地学科卒業。94年 同博士課程修了。その後、日本学術振興会特別研究員、東京工業大学理学部地球惑星科学科助手、カーネギー地球物理学研究所客員研究員(東工大助手在任中)、東京工業大学地球惑星科学科助教授、同教授、同地球生命研究所(ELSI)所長・教授を経て、2017年より現職(ELSI所長も兼務)。
2006年 井上学術賞、2008年 日本学術振興会賞、2011年 日本学士院賞、2011年 リングウッドメダル(Science Innovation Award from EAG)、2016年 藤原賞。
2009年〜 AGU Fellow、2014年〜 Geochemical Fellow、2017年〜 日本地球惑星科学連合フェロー。
好きなことは、子供と遊ぶこと、週末のバドミントン、ビール。

主要論文・著書:
1. Murakami, M., Hirose, K., Kawamura, K., Sata, N., Ohishi, Y., Post-perovskite phase transition in MgSiO3, Science, 304, 855–858, 2004.
2. Tateno, S., Hirose, K., Ohishi, Y., Tatsumi, Y., The structure of iron in Earth’s inner core, Science, 330, 359–361, 2010.
3. Hirose, K., Morard, G., Sinmyo, R., Umemoto, K., Hernlund, J., Helffrich, G., Labrosse, S., Crystallization of silicon dioxide and compositional evolution of the Earth’s core, Nature, 543, 99–102, 2017.
4. 廣瀬 敬、ついに見えてきた地球コア直上の世界、日経サイエンス、2007年1月号、42–49.
5. 廣瀬 敬、マントル進化の謎を解くマントルD”層、日経サイエンス、2010年9月号、72–80.
6. 廣瀬 敬、「できたての地球〜生命誕生の条件」、岩波科学ライブラリ

 

研究

Overview

廣瀬研究室では、天然のダイヤモンドと高出力レーザーを用いた「レーザー加熱式ダイヤモンドセル(LH-DAC)」と呼ばれる装置を用いて、地球の中心を超える超高圧高温環境を静的に作り出すことができます。

地球内部は超高圧高温(地球の中心では約364万気圧・5500度!)の状態にあり、人の手の届かぬ秘境です。そこにどのような物質が存在するのか、またそのダイナミクスがどのようになっているのかは未だ解明されていません。地球内部を調べるには地球内部の超高温高圧状態を実験で再現することが必要不可欠です。

しかし、この手のひらにのるDAC装置を用いれば、地球内部のあらゆる温度・圧力状態を再現し、様々な物質を実験室で合成できるのです。廣瀬研では、LH-DAC装置ほか様々な最先端機器を駆使し、「世界初」・「世界一」にこだわりながら、固体地球科学の最前線を切り開く研究を行っています。

 

Recent Projects

以下の3つが廣瀬研究室の主な研究テーマです。

 

1.地球や惑星の深部はどうなっているのか?


地球や惑星の“構造”や“物質の状態”、さらには“進化”を理解する上で重要なのが、高圧高温下での状態図です。地球表層にある物質のほとんどは高圧下で相転移を起こし、その結晶構造が変化して異なる物性を持つようになります。新たな相転移の発見はもちろん重要ですし、その圧力や傾きを精度良く決めることも大切です。

放射光X線を用いた高圧下でのその場観察に加え、常圧で回収した試料の内部を切り出して組織や化学組成を詳細に観察することも有力な手段です。

 

2.地球はどのようにして出来たのか?

初期の地球では、ジャイアントインパクト、マグマオーシャン、コアとマントルの分離など、一連の大きなイベントがあり、それらを通じて、地球は大気・マントル・コアへと分化したと考えられています。これらの大イベントは65年も前から知られているにも関わらず、詳細は現在でも大きな謎とされています。この軽元素を同定することも、地球の形成を理解する大きな手がかりになります。軽元素を含む鉄合金の物性を調べてコアの観測値と比較する研究の他、高圧高温下におけるマントルとコアの化学平衡や、マグマオーシャンの結晶化を理解する必要があります。

Credit: NASA/JPL

 

3.地球はどのように進化してきたのか?

地球の熱的・化学的進化を理解するには、熱伝導率・粘性・化学平衡・元素分配などを地球深部の環境下で測定する必要がありますが、過去の超高圧下での測定はかなり限られています。コアの熱進化を計算するのに重要な、鉄の熱伝導率をコアの高圧高温下で初めて測ってみたら従来の推定値よりも3倍高かった、というのは最近わかった話です。また、超高圧実験の試料は小さいので化学分析がこれまで困難でしたが、収束イオンビームという装置の導入により、今では比較的容易に超高圧下での化学反応や元素分配を調べられるようになっています。

Credit: NASA/JPL

 

Research Highlights

1. Post-Perovskite(ポストペロブスカイト)
Murakami et al. Post-Perovskite Phase Transition in MgSiO3 Science (2004) 他

2004年に、廣瀬研は世界で初めて、下部マントル最深部(D” 層)が「ポストペロブスカイト相」からなることを解明しました。現在では世界中でポストペロブスカイト相及びマントル最下部に関する研究が盛んに行われています。

 

2. The center of the Earth (地球の中心の再現)
Tateno et al., The Structure of Iron in Earth’s Inner Core, Science (2010) 他

地球の中心は、365万気圧、5500度の超高圧・高温の世界です。365万気圧とは、なんと、手のひらの上に東京タワーを100本乗せるのに匹敵する、極限的な状態です。地球の中心には、鉄を主な成分とする固体の内核が存在します。しかし、その温度・圧力下における鉄の結晶構造は分かっていませんでした。

廣瀬研では、超高圧・高温状態の再現に向けた技術開発を進め、2005年、2008年(ともにKuwayama et al.)と高温高圧達成の新記録を打ち立ててきました。そして、ついに2010年、地球中心の状態で、鉄はhcp構造をもつ事を世界で初めて、実験的に明らかにしました。

現在では、更なる高温・高圧下での実験も行っています。


 

3. Compositional evolution of the Earth’s core (地球コア化学組成の進化の解明)
Hirose et al., Crystallization of silicon dioxide and compositional evolution of the Earth’s core, Nature (2017) 他

地球のコアには、2つの大きな未解決問題があります。「地球コアの化学組成は何か」。「地球の磁場はなぜ古く(~内核の誕生以前)から存在しえたのか」。

本研究では、初期のコアの主要な軽元素と考えられるO、Siを含んだFe-Si-O箔を融解させ、その結晶化メカニズムを明らかにしました。大きな発見は、コアの温度-圧力条件で冷却に伴い、溶融したFe合金からSiO2が析出したことです。これまでの先行研究で予想されていた初期のコア化学組成では、どれでも、SiO2が析出してしまうのです。すなわち、Fe液体中のSiとOには共存できる上限の量があり、現在の地球コアに含まれる主成分はいずれか一方であることが初めて明らかになりました。さらに、SiO2は鉄よりも軽く、浮力を持つため、組成対流を駆動し、地球の初期から磁場が存在したことも說明がつきます。これにより、磁場のベールで守られ、生命を育める星、地球に、どうして進化できたのか明らかになりました。

メンバー

2024 卒業式写真


2017 members

2018 members

2019 members

2021 members

2022 members
PRINCIPAL RESEARCHER

廣瀬 敬(教授)

FACULTY


Fu Suyu(JSPS PD)

GRADUATE STUDENTS


堤 裕太郎(D3)
日本学術振興会特別研究員 DC2

幾田 凪(D2)
日本学術振興会特別研究員 DC1

坂井 郁哉(D2)
日本学術振興会特別研究員 DC1

稲田 真子(D1)

竹澤 春樹(M2)

三田 修平(M2)

竹下 潤(M1)

平岡 大和(M1)
UNDERGRADUATE STUDENTS
特別研究・卒業研究での所属:
地球惑星環境学科B4 藤本達也
地球惑星物理学科B4 仙波芽美
地球惑星物理学科B4 平井大源

OB/OG

【高圧地球科学】
村上 元彦 (ETH Zürich) Prof. / Ph.D. (2004.3)
駒林 鉄也 (The University of Edinburgh) Reader (准教授) / Ph.D. (2005.3)
新名 良介 (明治大学 / 物理学科) Assoc. Prof. / Ph. D. (2010.3)
太田 健二 (東京工業大学 / 地球惑星科学専攻) Assoc. Prof. / Ph. D. (2010.9)
駒林(杉村) 恵美子 (The University of Edinburgh) Marie Curie Individual Fellow / Ph.D. (2011.3)
五味 斎 (東京工業大学 / 地球惑星科学専攻) / Ph.D. (2014.3)
小澤 佳祐 (兵庫県立大学 / 物質理学研究科) 助教 / Ph. D. (2023.3)
横尾 舜平 (東京大学 / 地球惑星科学専攻) 助教 / Ph. D. (2024.3)
彦坂 晃太郎 (東京工業大学 / 地球惑星科学専攻) JSPS PD / Ph.D. (2024.3)

【他分野の研究職(研究所等)】
河口(今田) 沙織 (SPring-8 / JASRI) Ph.D. (2015.3)
田川 翔 (千葉大学 / 国際未来教育基幹) 助教 / Ph.D. (2020.3)

【他分野】
舘野 繁彦 Ph. D. (2008.3)
舘野(小澤) 春香 Ph.D. (2011.3)
工藤 祐樹 Ph.D. (2015.3)
桑山 康弘 Ph.D. (2007.3)
野村 龍一 Ph.D. (2014.3)
岡 健太 Ph.D. (2023.3)

Previous lab. members
増野 いづみ (岡山大学) Ph.D.
- PD from April 2017 to December 2018
日下部 真夕 M.S.
– 2019/03 修士課程修了
冨田 涼太 B.S.
– 2019/03 学部卒業
増田 滉己 B.S.
– 2019/03 修士より固体講座 井出研に進学
夏井 文凜 (研究生)
– 2020/03 修士より地震研に進学
長谷川 将弘 M.S.
– 2022/03 修士課程修了
奥田善之 (University of Hawaii at Manoa) Ph.D.
– PD from April 2022 to October 2023
栗田 直季 M.S.
– 2024/03 修士課程修了